2009年6月2日火曜日

雑記

特に書く事もないのだが、放置期間をあまり作りたくないので、最近読んだ本で感銘を受けたものを紹介します。


「若きウェルテルの悩み」ゲーテ著(岩波文庫)です。
ゲーテは非常に有名な人ですから、その名前といくつかの作品名は知っていましたが、読むのはこれが初めてです。この前吉祥寺の古本屋で、3冊で200円の棚を漁っていたら偶然見つけたので買ってみたのですが、読み終えてここ最近なかった強い衝撃を受けました。

まずこの手紙形式というのが僕にはかなり気に入りました。ウェルテルと対話をしているような感覚に陥るし、またこの本に書かれた一語一語が意味を持つ言葉のように思えることも拍車をかけました。ウェルテルは画家という設定もあって、特に風景や想いを寄せるロッテなどの美に関わる描写は、日常にありふれた美というよりも、想像しうる限りの美しさを思い起こさせるようなものです。

何よりも印象に残っているのが、ウェルテルが自殺を遂げる直前に書かれた一連の手紙で、そこから連想できる、彼の精神の錯乱具合が僕の緊張感を高まらせました。狂おしいほど愛しいロッテには既に夫(出会った時は婚約者)がいるにも関わらず、美しい心を持つロッテはウェルテルに毅然とした態度を取る事ができない。だがそれが一層ウェルテルを苦しめる…

戦後、人間は劇的に変化したと思う。
人間自らが環境を変えたことによって、不可能と思われたことを可能にし、それを次々と標準化させてきた。
経済的な豊かさは向上し、より一層便利にな世の中を構築した。
インターネットが普及し、今や携帯電話をもっていない人の方が珍しい。

そんな中で、読書という楽しみはいつの間にか、少数派へと転落してしまったように感じてしまいます。
いろいろな意見があるとは思いますが、読書の楽しみは読書でしか味わえないのだと思います。
特に映像があまり好きでない僕は、やはり本を読んで、活字から読み取る情報をもとに想像し、その世界へとのめり込む疑似体験が、最高の楽しみなのです。
以前「ロリータ」(ウラジミール・ナブコフ著)の映画版を見た事がありますが、面白い映画だと思いましたが、やはり小説で感じたあの感覚を超える衝撃は得られませんでした。
映画を否定する気はありません、ただ読書には、与えられた限られた情報(視覚から入ってくる活字のみ)だけで、自分の想像力をかき立てシーンを構築するという他では味わえない楽しみが
ある、と言いたいのです。

話がずれてしまいましたが、新潮文庫からも違う訳者が訳した物が出版されているらしいので、時間があったらそっちも読んでみようと思います。


えーじ

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